ワイン造りにおいて長い歴史を持つシャンパーニュの地で若くして大成功を収めたメゾン、ニコラ・フィアット(NICOLAS FEUILLATTE)。
妥協なき品質へのこだわりはもちろん、伝統に捉われない独創的かつ大胆なシャンパーニュ造りを行う、世界最高峰のシャンパーニュメゾンの一つとして知られています。
本記事では、ニコラ・フィアットの哲学、そしてクラフトマンシップなど、同メゾンの“世界観”をまとめました。
世界中のシャンパーニュラヴァーたちに愛され続けられている、その秘密をお伝えしましょう。
知るべきニコラ・フィアットの魅力
ニコラ・フィアットは、グラン・クリュ「シュイィ」に醸造施設を構えるシャンパーニュメゾン。
1976年の創設からわずか30年余りで販売数量フランス国内No1を獲得した、同地方に彗星の如く現れた若きメゾンです。現在でもフランス国内No.1が続いています。
そんなニコラ・フィアットの哲学を知る上で欠かすことができないポイントを下記の内容にまとめました。
創業者ニコラ・フィアットの情熱
ニコラ・フィアットの創業者は、そのメゾンの名でもあるニコラ・フィアットです。
パリの著名なワイン・スピリッツ輸入業者を営む家庭に生まれた同氏は、大胆なビジネスマンだったことで知られる人物でした。
第二次世界大戦後に運試しとして大西洋へ。
アフリカのコーヒーをアメリカに輸入し、成功を収めます。
1960年、当時40歳だったニコラ・フィアットは、シャンパーニュ地方ランスにある12haのブドウ畑の投資に着手しました。
この頃、同氏はニューヨークに在住していたもののブドウ畑の購入を機にシャンパーニュへと戻ります。
他にはないエレガントな造りを目指すために全ての想いを集結させた、ニコラ・フィアット。
あくなきシャンパーニュへの情熱を持っていた同氏は、ついに1976年に自らの名を冠したシャンパーニュメゾンニコラ・フィアットを設立するのです。
1986年、事業拡大のためシャンパーニュ醸造センターにブランドを移譲されたものの、現在のニコラ・フィアットは同氏のシャンパーニュ哲学が受け継がれた比類無き存在へと成長を遂げています。
人脈が繋いだ成功への道
ニコラ・フィアットが成功を収めた理由は“品質の高いシャンパーニュ”であっただけではありません。
上記でお伝えしように創業者ニコラ・フィアットは、アメリカでコーヒー事業を成功させています。
実はこの時、同氏は数多くのVIPと人脈を作っており、その人脈こそニコラ・フィアットを成功へと導いたと語られているのです。
ニコラ・フィアットは、ビジネスパートナーでもあったジェットセッター(プライベートジェットで世界中を駆け巡る人)に、仕事上のお礼として自ら造ったシャンパーニュをプレゼント。
フレッシュでエレガントな味わいが特徴のニコラ・フィアットは、彼らの中で評判となり、それが口コミで瞬く間に広がっていきました。
ちなみに、同氏がシャンパーニュを造ったのはアメリカの友人に振る舞うためと言われており、最初の顧客はケネディ家のアリストテレス・オナシスだったそうです。(“20世紀最大の海運王”と称されるギリシャの実業家)
さらに、ブランド設立から僅か2年後の1978年。
ワシントンで開催された当時のフランス大統領ヴァレリー・ジスカール・デスタンを迎える晩餐会にて公式シャンパーニュとして振る舞われます。
さらにアメリカから母国イギリスへ帰国する人々によって、イギリス国内でもニコラ・フィアットの評判が広がり、瞬く間にブランドの地位を確立し成功を収めたのです。
品質の高いシャンパーニュを造ったとしても、誰も知らない、誰も飲んでいないのでは成功を掴むことはできません。
ビジネスマンとしての才能があったニコラ・フィアットだったからこそ、この魅力的なエピソードが生まれたのです。
生産者連合との出会い
ニコラ・フィアットの品質の礎となっているのが、「センター・ヴィニコール(生産者協同組合)」の存在です。
アメリカでの成功を経てオーストラリアなどに輸出が拡大していった同メゾンですが、12haのブドウ畑では生産量が追いつかなくなっていきました。
そのためニコラ・フィアットは1986年にシャンパーニュ地方エペルネに位置する最大のブドウ生産者連合「センター・ヴィニコール」と手を組み事業拡大を目指します。「センター・ヴィニコール」の創設者は、シャンパーニュ委員会の栽培農家代表委員やブドウ栽培・醸造業者組合のトップを務めた。
「センター・ヴィニコール」が創立されたのは1972年で、当時余剰収穫が続いていたシャンパーニュ地方においてブドウ販売を確実なものにする必要がありました。同センターが創立される以前より、ブドウ農家とメゾンの重要な架け橋的存在でもあった同氏は、数少ない協力的な農家を集め「センター・ヴィニコール」を設立させています。
そんな中、先見の明を持ったニコラ・フィアットとアンリ・マッカートが運命的な出会いを果たし、結果「シャンパーニュ・ニコラ・フィアット醸造センター」が創設されたのです。「センター・ヴィニコール」は現在複数の共同組合と合併をし、「テロワール・ヴィニュロン・ド・シャンパーニュ」として82の共同組合が終結したシャンパーニュ地方最大級のブドウ生産者連合・組合として知られています。
そして、所有する圧搾所はなんと340箇所。
最高品質のブドウ栽培、そして最新鋭の醸造設備によるタッグによって、ニコラ・フィアットが目指してきた最高峰のシャンパーニュ造りが維持されているのです。
ニコラ・フィアットのクラフトマンシップ
ニコラ・フィアットは、今や世界中のシャンパーニュラヴァーが知る存在です。
フランスにおけるシャンパーニュブランド販売実績マーケットフェアでも1位を獲得してきた他、世界各国航空会社での豊富な採用実績、日本国内の高級ホテルでの採用実績など、その輝かしい実績は目を見張るものがあります。
“知名度”といった点で多くの人々がニコラ・フィアットを手に取っていることは、疑いようのない事実でしょう。しかし、その知名度を下支えしているのは間違いなくニコラ・フィアットの品質の高さに他なりません。
ここからはニコラ・フィアットが、なぜここまで高い品質を維持し、提供し続けることができているのか。
クラフトマンシップの視点から解説していきましょう。
質の高いブドウの安定供給
ニコラ・フィアットは、シャンパーニュ地方最大級のブドウ生産者連合・組合と手を組んでいます。6000軒以上のブドウ生産者を束ねており、グラン・クリュ、プルミエ・クリュといった品質の高いブドウが安定的に供給されています。
メゾンより全生産者にリュットレゾネが指導されており、将来的に完全オーガニックに移行中です。またユニークなポイントとして、生産者全員(組合員)がニコラ・フィアットの株保有者となっています。
つまり、品質が高いブドウを栽培し供給することでニコラ・フィアットの売り上げが上がれば、自らの収入も増えるといったシステムになっているのです。ブドウ栽培農家の仕事は、ボランティアではありません。
こういったシステムがしっかりと導入されているところもニコラ・フィアットの品質が維持されているポイントでしょう。
最新鋭の醸造施設
ニコラ・フィアットの品質を語る上で、最新鋭の醸造施設の存在も欠かせません。
ニコラ・フィアット所有の圧搾所は340箇所存在し、ブドウを収穫した後すぐに醸造設備に運べるため酸化のない健全なブドウが圧搾可能です。最大304,000ヘクトリットル分のタンク、毎時2万本のボトリング能力、動瓶専用システム『ジャイロパレット』を480台導入するなど、安定した品質を維持するための投資を惜しみません。
また、2007年にISO22000『食品安全リスクマネジメントシステム』を取得していますが、その取得はシャンパーニュ内でも最速取得です。
品質の高いブドウのポテンシャルを維持し、さらに世界中のシャンパーニュラヴァーに安定供給できる仕組みも徹底的に整備する。
こういった部分もニコラ・フィアットのこだわりです。
セラーマスターの存在
創業当時よりニコラ・フィアットの品質をコントロールしているのは、セラーマスターたちです。
中でも、チーフ・ワインメーカーのギヨーム・ロフィアンの存在は大きく、今やニコラ・フィアットをフランス販売シェアNo1まで成長させた第一の立役者としても知られています。そんなセラーマスターのクラフトマンシップを物語る仕事のひとつが、アッサンブラージュです。
「唯一無二のテロワール・数種のブドウ畑・高品質なブドウ」をベースに、セラーマスターの創造性と匠の技を駆使し、その年に収穫された澄んだワインと膨大なリザーブワインをアッサンブラージュしていきます。
ここでの大切なポイントは全商品を最終的に、“フレッシュ&エレガンス”といったニコラ・フィアットの持つ共通イメージに仕上げるところでしょう。このアッサンブラージュこそ、ニコラ・フィアットセラーマスターのクラフトマンシップです。
また、セラーマスターのクラフトマンシップのひとつに熟成があります。ニコラ・フィアットのシャンパーニュは、涼しく暗い貯蔵室で最低3年から10年熟成されます。同メゾンはノン・ヴィンテージであってもシャンパーニュの熟成規定15ヶ月をはるかに越える3年(36ヶ月)熟成です。
もちろん、ただ悪戯に長く熟成させれば良いというわけではありません。
温度管理やその時々の状況を確認する、これもまたセラーマスターの経験値が問われる作業なのです。
「パルム・ドール」
ニコラ・フィアットのクラフトマンシップの全てを物語ると言っても過言ではない存在が「 * パルム・ドール」です。
最良のヴィンテージに収穫、厳選されたブドウのみで造られるヴィンテージシャンパーニュで、ニコラ・フィアットの最高傑作と称されています。「パルム・ドール」のブレンドはセラーマスターのみが携わり、その熟成も同メゾン最長となる10年と贅沢極まるシャンパーニュです。
そんな「パルム・ドール」のエレガントな味わいをより高貴なものにしているのが、独特なデザインのボトル。高貴なブラックパールからインスピレーションを受けたと言われるオリジナルボトルは、「パルム・ドール」の神聖な雰囲気を際立たせています。
ニコラ・フィアットが生み出した「シャンパーニュという名の宝石」。
それが、「パルム・ドール」なのです。
ニコラ・フィアットには、愛らしいニコラ・フィアットエンブレムが存在しており、そこには「生産者・ブドウ・感性・世界的名声の証である中心の星」といった4つの想いが詰め込まれています。
また、シャンパーニュのミュズレと針金を使って作られる「ミュズレチェア」をモチーフにしたキュートな広告など、シャンパーニュそのもの以外にも注目したいポイントが多数存在しているところも魅力です。
シャンパンホテルでは、今回紹介したニコラ・フィアットの世界観を体感できる空間をご用意しました。
ご用意するキュヴェは、「パルム・ドール 2008」。
ニコラ・フィアットの歴史・技術・精神が全て詰め込まれた最高傑作です。
ぜひ「パルム・ドール 2008」を片手にその世界観を愉しんでみてはいいかがでしょうか。